MONTBLANC SPECIAL INTERVIEW by Heinz Beck ハインツベック スペシャルインタビュー

世界中の美食家に賞賛されるイタリアの三ツ星シェフ ハインツ・ベック氏。イタリアをはじめ、ドバイ、ポルトガルなど各国でレストランを展開する同氏がはじめて、自身の名を冠したレストランを東京・丸の内にオープンさせました。
世界最高峰の料理と洗練されたサービスを饗するその店内で着用されているのは、コシノジュンコ氏によってデザインされ、モンブランが製品化したユニフォーム。今回はそのご縁で特別に、新作メニューの試作のために来日したハインツ・ベック氏にインタビューを行いました。

HEINZ BECK × JUNKO KOSHINO 世界最高峰の料理と洗練されたサービス、そして機能と美しさをそなえたユニフォームの競演。

ハインツ氏が「天才的」と感嘆した伝統的でモダンなユニフォーム

東京・丸の内にあるレストランは、イノベーティブ料理を提供するファインダイニング『HEINZ BECK』(ハインツ ベック)、
現代風イタリア料理を提供するオールデイダイニング『sensi by Heinz Beck』(センシ バイ ハインツ ベック)。同じビル内に、コンセプトの異なる2店をオープンしています。
そこで働くスタッフのユニフォームは、フロアごとに各6種類を用意。コシノジュンコ氏が「色」にこだわり、料理、内装、食器に至るまで総合的に考えた上で、ユニフォームを考案されました。店の顔となるレセプションには品格のある華やかさを加えるなど、役割ごとにシルエットを考慮されているのも特徴です。
ハインツ・ベック氏のユニフォームはなんと、日本の袴をイメージしたもの。コシノジュンコ氏が伝統とモダンを感じられるようにとデザインしたこのユニフォームについて、ご本人にお聞きしました。「日本の伝統的な衣装を、外国からきた革新的な料理をつくる料理人の制服にあてはめたというのが非常に面白く、天才的な発想だと思いました。また非常に動きやすくて快適です。
料理人の制服は長時間着用するので、快適でないと良い仕事ができません。これは非常に動きやすくて仕事がしやすい」。ハインツ氏はコシノ氏のデザイン案に対し、変更などは一切されなかったそうです。

次々と新たなアイデアを生み出すクリエイティブな発想の源とは

コシノジュンコ氏のデザインを天才的な発想と評したハインツ氏ですが、ご自身も非常に創造性あふれる方。その発想の源についてお聞きすると、「常に好奇心旺盛で、オープンマインドにしていること」と至ってシンプルな答えが返ってきました。 「こういったときに発想が生まれる、というものではないんです。例えばすばらしい風景を見たとき、それは海岸かもしれないし森かもしれない、思いがけない人の笑顔かも知れない。感動をうけて心が動いたときに、新しい料理のインスピレーションが湧くのです。その感動をレストランに持って帰って、試作を作ります」。日常の生活の中で感じたことが、発想の源になるというハインツ氏。日本で感動を受けたものをお聞きすると、「たくさんありすぎて答えられない」とのことでした。このレストランでは、日本の食材を使ったオリジナルメニューと、ハインツ氏のイタリアの三ツ星レストラン「ラ・ペルゴラ」のメニューを味わうことができます。世界を舞台に活躍されるハインツ氏に、東京という街と日本の食材について聞いてみました。「東京は過去と未来が完璧な形でコントラストをなしています。非常にモダンでコスモポリタン、でも古いものも大切にしている。過去と未来がハーモニーをなしているのが東京だと思います。日本は食材にも非常に恵まれていて豊か。ここ東京で発案したメニューを、他の国のレストランで出すこともあります」。

子供たちの食育は、料理人としての社会への貢献

革新的で独創的な料理が注目を集めるハインツ氏のもうひとつの顔は、「美食と健康」を追求する研究者。約15年前から続けられている研究テーマのひとつが、子供たちへの食育です。「8~9歳の子供たちと一緒に料理を作り、試食をします。彼らと会話をしながら、体に良いものや良くないものを、理由を交えて教えます。料理教室のメニューは、緑の野菜や青背の魚など、あえて子供たちの嫌いなもの。でも子供たちは、みんなキレイに食べてくれるんです。彼らの親はびっくりしています。“シェフの料理教室に参加したら、子供が好き嫌いなく食べてくれるようになりました!”って。子供たちから手紙をもらうこともあります」。食育は、料理人として社会に貢献できることのひとつと言うハインツ氏。イタリアの食育は遅れており、まだまだ自分ができることがたくさんあると語ります。「食育を行うには費用がかかりますから、親や学校もなかなか乗ってはくれません。そこで私は、自分がオーガナイズすることにしたんです。私はイタリアにおけるメルセデスのアンバサダーを勤めているので、メルセデスのバスで子供たちを迎えに行き、私のレストランで料理教室と試食会を行いました。その企画を発表したとき、ローマの高級住宅街の学校から参加したいという声が多く上がったのですが、食育を必要としているのは恵まれない地域の子供たち。だからそういう地域の子供たちだけを招待して実施しました」。

「私たちの体は、食べたものからできている」

数々の食育プロジェクトを手掛けるハインツ氏は、4年前には無償で『肥満の子供のための食生活』という本を作成。この本は、小児科の先生から肥満の子供がいる家庭に対して配布されています。現在は、小児がんで長期入院している子供たちの病院食プロジェクトや、遺伝性の糖尿病を患う子供たちの食事のプログラムの研究を進めておられます。「病気の子供たちのためプロジェクトは、子供たちの家族が病気のことをあまり公にしたくないという思いもあり、進めるのに時間がかかります。だからこそやるべきで、自分が料理人として社会に貢献できることはこれだと思います。そのために自分の時間を割くことは全く問題ではありません」。
最後に、ご自身の研究テーマであり、料理のコンセプトでもある「美食と健康」についてお聞きしました。「食生活が健康に及ぼす影響は、数々の研究によって明らかにされています。美味しいだけでなく、体に良いこと。それを常に意識しています。正しい食材を使い、正しい調理法によって作られたものを食べて生活することで、内臓がしっかり働き、病気になりにくい体になると信じています」。

最後に 眉目麗しい斬新な料理の背景にあるのは、ハインツ氏の食に対する深い知識や熱い想い。それは美しさと機能性を両立させた、コシノジュンコ氏のデザインにも通じるものがあります。今回モンブランがお二人の感性に応えるユニフォームを製作できたことは、メーカーとしての誇り。私たちもこれまで以上に、プロフェッショナルの期待を越えるユニフォームを作り続けていきます。

Information

【sensi by Heinz Beck】東京都千代田区丸の内1-1-3 TEL:03-3284-0020 11:30~23:00(L.O.22:00) 定休日:無休 【HEINZ BECK】東京都千代田区丸の内1-1-3 TEL:03-3284-0030 ランチ:11:30~15:00(L.O.13:30) ディナー:17:30~23:30(L.O.21:00) 定休日:日曜日(年末年始はお問い合わせください) http://www.heinzbeck.jp
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